窪美澄さんと言う作家から、目が離せない。


□デビュー作「ふがいない僕は空を見た」で、山本周五郎賞を受賞

 ■生きていることに意味がある

 満票での受賞にも、浮わついた様子はない。「大作家の名を冠した賞をいただく責任を感じる。もろ手を挙げてバンザイというわけには…」。デビュー作『ふがいない僕は空を見た』(新潮社・1470円)で、第24回山本周五郎賞に決まった窪美澄(くぼ・みすみ)さん(45)は、東京都内で行われた会見で、慎重に言葉を選びながら喜びをかみ締めた。

 不妊治療中のコスプレ好きな主婦、貧困から抜け出そうともがく高校生…。受賞作はさまざま困難を抱えた登場人物たちが前向きに生きる姿を描く連作短編集。ユニークな題名は「目の前の状況にふがいなさを感じない大人はいない、という私の実感」から付けた。

 冒頭の短編「ミクマリ」で「女による女のためのR-18文学賞」の大賞を受賞。その周辺を書き継いだ本作は今年4月、本屋大賞の2位に選ばれた。山本賞選考委員の作家、重松清さん(48)も「エグイ世界を描いているが、作者が冷静な距離を保って浸りきっていない。章が進むごとに深さが増す」と賛辞を惜しまない。

 東京都生まれ。短大中退後、広告制作会社勤務を経て、妊娠や出産などを主なテーマに、フリーの編集ライターとして活躍してきた。生まれて間もない第1子を亡くした経験が、小説世界にも投影されている。

 「危機的な状況であればあるほど、どう生きるかは二の次で、生きていることに意味がある。2冊目もテーマは同じ。『あなたがそこにいるだけでいい』ということをしつこく、しつこく書きたい」


素晴らしいじゃないですか!!!