コスプレ主婦の倒錯した性描写を延々描いているのに、
文章全体に漂う不思議な清潔感。
何故だろう?

読後に残るのは、生の哀しさと、愚かさ。
そしてそれらを全身全霊で受けとめ、
肯定しようとする透明な意志。

2011年の本屋大賞第二位、本の雑誌が選ぶ2010年度第一位。
と言う本屋のPOPなど、滅多に信用する事はないのだけど、
なぜか、妙に気になって、まったく内容を確認もしないで衝動買いした。

ここのところの熱帯夜、
寝苦しい深夜の暇つぶしにと手に取ったら、
ぐいぐいぐいと引き込まれて、読みふけってしまった。

5つの短篇ごとに独立した物語としても読めるし、
もちろん、ひとつの長編としても緻密に構成されている。
5人の登場人物、それぞれに文体から変えてしまう、その描き分けが見事だ。

妊娠、出産、不妊・・・女の視点からとらえたセックス。
セイタカアワダチソウと言う雑草をタイトルに持ってくる点も、
この作者は、きっと伊藤比呂美さんの読者だなと、
確信してにやりとしました。