最近、音楽、特にクラシックに触れる機会が増えた。

以前から、視覚と聴覚の関係や、視覚や聴覚に欠損のある人たちの感覚に興味を覚えていた私。
誘われて、クラシック音楽をテーマにした長期取材のドキュメンタリーに参加している。

自分の興味とどこか接点のありそうなテーマの番組。
制作費が削られる一方で、長期取材の出来る本格的なドキュメンタリーが少なくなっている近頃。
すぐ仕事になるかどうか分からなかったけれど、喜んで参加した。


ダイアローグ・イン・ザ・ダーク

見えないから聞こえること、聞こえないから見えること

視覚に邪魔されない、音だけの世界

盲目のピアニスト 

カルテットという音楽

グレン・グールドの孤独

音に包まれることで、解放される神経

クラシック音楽に造詣の深い大プロデューサーOさんが、
クラシック音楽を余り知らない、その事を気にしながら仕事をしている私達に、

「クラシック音楽に余り詳しくないから、あなたを選んだのよ」と言った。
「知らないからこそ、クラシック音楽の番組を作るっていうことで、いいんだと思うの。」とも言った。
「取材しながら、わからない事は何でも彼らに聞いていけばいいと思うの」と。
「そうすることで、クラシック音楽が一部のファンだけのものではなく、
 より多くの人に開かれたものになると思うから」と。

「番組作りは、カルテットの音楽を完成させていく作業にも似ていますね」と演奏者は言った。

取材される音楽家達の音楽的、人間的な成長と、
取材者である私たち番組制作者のクラシック音楽への意識の持ち方の変化そのものが、
このドキュメンタリーの物語として織り上げられていくのだろうか・・・。